完了


    2. 完了

    《重複完了語幹の重複のしかた》

  1. 完了(perfect)の語根のはじめは、 139にしたがって、 語根の母音の短いもので重複をさせます。 語中の標準階(グナ)または長音階(ヴリッディ)に対してはその弱音階を用います (→7)。 語末の標準階(グナ)、長音階(ヴリッディ)、に対してはを用います。 (仕える)→能単1(この項以下同)(歌う)→(作る)→(越える)→(増す)→
  2. 母音で始まる語根はその母音で重複します。 は強語形(→171)のときは、 (→936)によって重複します。 (食う)→能単1(得る)→能単1(望む)→能単1能単3(燃やす)→能単1能単3
     語のはじめにがあって二つ以上の子音が続くとき、 または語のはじめにがあるときは、 で重複させます。 (尊ぶ)→能単1(栄える)→能単1(行く)は能単1です。
     で重複させます (このようにが半母音に戻る現象を、 といいます)。 (供える)→能単1能単3(語る)→能単1能単3

    《完了の人称語尾》

  3. 人称語尾は次のとおりです (→変化表)。
  4. 母音で始まる語尾の多くは語幹との間にを挿入します。 語幹ととの間には必ずを挿入します(上の変化表ではとしています)。 との間にはを入れないこともあります。 (破る)の能両1は(導く)の能単2はまたは。 語根(走る)、 (聞く)、 (賞賛する)、 (流れる)、 (する)、 (運ぶ)、 (選ぶ)、 (疾走する)は、の直前以外は語幹の次にを入れません。
  5. 完了は強語幹(長音階。ヴリッディ)、中語幹(標準階。グナ)、弱語幹(弱音階)の3語幹を持ちます。 能単1は強または中語幹、能単2は中語幹、能単3は強語幹(ここまで強語形)、これ以外は弱語幹(弱語形)で作られます。 アクセントは強語形のときは語根にあり、弱語形のときは語尾にあります (→127)。

    《子音〜子音の長音節語根》

  6. 語頭と語末が子音である語根で、 中間の母音が本来長いか位置によって長い場合(→122)は、 いかなる場合でも語根の形を変えません。 (またたく)は(しばる)は(非難する)は。 また(問う)は、語根の母音は短母音ですが、 語尾がつくとが必ずになるため、位置によって長くなり、

    《中間にをもつ語根》

  7. 中間にをもつ語根の強語形は標準階(グナ)になります。 (破る)は(養う)は(見る)は
  8. (打つ)の変化は次のとおりです (→変化表)。

    +単子音という語根》

  9. 語根の中間にがあり、 次の子音が単子音であるときは、能単1は長音階(ヴリッディ)になることがあります。 また能単3は必ず長音階にしなければなりません。 能単2は176にあげるもの以外は変化しません。 弱語形のときは語根の形を最も短くします。 語根がで始まるときは、によって重複させます (→168)。 (行く)の語幹は(握る)の語幹は(言う)の語幹は(←)。
     の変化は次のとおりです (→変化表)。
     (掘る)の能単3能複3(生まれる)の能単3能複3(殺す)の能単3能複3(→86)、 (握る)の能単2能単3能複3(供える)の能単3能複3(言う)の能単3能複3も、上の表にしたがって変化します。 (言う)、 (まく)、 (欲する)、 (すむ)、 (運ぶ)も同じ変化です。 (食う)は能単3能複3(貫く)は能単3能複3(眠る)は能単3能複3

    《単子音++単子音という語根》

  10. 単子音で始まり単子音で終わり中間にがあり、 最初の子音は重複に際してその子音で重複できる(139の1と2を適用しなくてよい)語根は、 そのに変えて、重複を起こしません。 (落ちる)は(ほえる)は(拘束する)は。 能単2の語尾がで終わる語幹に加えられるときも同様です。 (煮える)は。 しかし語幹がで終わらないときはそうではなく、となります (→変化表)。
  11. (分ける)は、 必ず176のように能単3反単3と変化します。 (恐れる)、 (さまよう)、 (輝く)などは、 176のように変化することもできます。 (生まれる)は決して176のように変化せず、175にしたがって変化します。

    および二重母音で終わる語根》

  12. で終わる語根は、 能単1と能単3ではという語尾を用います。 弱語形ではこれらの語根の母音は消滅します (ただし子音で始まる語尾の前ではを挿入する)。 能単2はまたは、その弱語形(母音消滅、を挿入)となります。 (与える)、(歌う)の変化は こちらです。
  13. で終わる語根は、 能単1では標準階(グナ)も長音階(ヴリッディ)も両方あります。 能単2は必ず標準階(グナ)、能単3は必ず長音階(ヴリッディ)になります。 (導く)の能単1または能単2または能単3 (→変化表)。
     弱語形では、で終わり重子音で始まる語根、 またはほとんどので終わる語根では標準階(グナ)となり、 それ以外は弱音階になります。 の能複1(→9の例外)、 (買う)は能複1(→36)、 (振る)は能複1能複3(持つ)は能複1(→17)、 (記憶する)は能複1(渡す)は反単3

    《その他》

  14. (勝つ)は能単1能単2 (衝く)は能単1(積む)は能単1またはとなります。
  15. (ある)は能単1能複1能複3となります (→変化表)。
  16. (知る)は、現在の意味に用いられるときには重複をしません (→変化表)。
  17. (言う)は、能動態のみ、しかも単2、両2、単3、両3、複3しかありません (→変化表)。

    《複合完了》

  18. 複合完了 語根または語幹に語尾をくわえ、 これに直接または別の語を挿入したあとに、 (作る)、(なる)、(ある)の完了を加えます。 は、もし動詞が反射態に変化する場合は、一緒に反射態に変化します (→変化表)。
  19. 複合完了は第10類の動詞の語根、 および第10類と同様に作られる使役動詞や名詞起源動詞、 また以外の母音で始まりその母音が本来または位置によって長い語根、 また(座る)で用いられます。 また、(知る)、(供える)のような5〜6個の動詞で用いられることがあります。 (得る)は使役動詞(満足させる)は(話す)は(反射態。見る)は(反射態。座る)は(供える)は