[ウルドゥー語/ヒンディー語ページ参考書]

ヒンディー語の参考書

Since 2004/4/12 Last Updated


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町田和彦『ニューエクスプレス ヒンディー語』
2008.白水社.ISBN978-4-560-06791-8.2300円+税.A5−151ページ+CD.
 下記『エクスプレス ヒンディー語』を全面改訂した本。文法や単語の羅列よりもまとまった内容の本文を暗記させるという最近の外国語学習書の傾向にしたがい、本文の内容が社会文化的背景をもふまえた非常に楽しいものになりました。ニューエクスプレスシリーズは言語によっては必ずしも文法事項を全部扱わないのですが、ヒンディー語は一応すべての文法事項を扱っていますので、これ1冊でひととおりのことをマスターすることができるでしょう。
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田中敏彦、町田和彦『エクスプレス ヒンディー語』
1986.白水社.ISBN4-560-00768-3.2400円+税.B6−168ページ.カセット別売(全2巻.4280円+税)。
現在は『CDエクスプレス ヒンディー語』(2003.ISBN4-560-00591-5.2835円(税込))となっている。
 最近はなんかやたらヒンディー語の入門書が増えましたね。そんな中でも定番の1冊。解答つきの練習問題、語彙つき。文法や語彙が非常に簡潔にまとめられていて便利。私が持っているのはカセット版なのですが、最近は同内容でCDつきになり、版もA5版とでかくなりました。
 なお、著者の一人町田和彦氏の「町田和彦のホームページ ヒンディー語の世界にようこそ」では、 この本の主要部分(本文、語彙など)を見たり音声を聞いたりすることができます。
 それから、韓国で翻訳が出ています。 こちらもご参照ください。
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古賀勝郎『基礎ヒンディー語』
1986.大学書林.ISBN4-475-01049-7.6200円+税.B6−500ページ.
 上記『エクスプレス ヒンディー語』とくしくも同じ年に出た本。こっちは音声教材はありません。基礎といってますが文法的にはひととおり網羅されているので、『基礎ウルドゥー語』よりはレベルの高いところまで進むことができます。ヒン→日、日→ヒン語彙もついていて便利。ただしこの本、もうちょっとレイアウトを考えればよかったのに。文法項目や練習問題を一緒くたに626個のセクションにして、それをずらーっと改ページも見出しもつけずに並べてるんですよね。まるでスートラ式のパーニニ文典みたい。順番に精読すりゃいいのかもしれないけど。一応目次は文法索引をかねてはいるのですが、目次の文法カテゴリーにあてはまらないもの、例えば特定の語の用法などをひくことができないので不便です。せめて巻末の語彙集に本書で登場するページが書いてあればよかったのに。
ブックマーク=#nyumonhn

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坂田貞二『入門ヒンディー語』
1986.鳳書房.ISBN4-900304-11-5.2800円+税.A5−116ページ.(絶版)
国際語学社.ISBN4-87731-077-0.
 やはり上記『エクスプレス ヒンディー語』『基礎ヒンディー語』とくしくも同じ年に出た本。鳳書房刊としては絶版ですが(ただし大書店にはまだ鳳書房刊の本が出回っている)、国際語学社から全く同じ体裁と価格で売られています。音声教材はありません(前書きには「録音テープを用意し、希望の方に頒布できるようにしてある」とありますが、著者が個人的に頒布しているということのようであり、書店などで流通しているわけではありません)。大学などでの授業用のプリントを書籍にしたという感じで、教師の講義を前提としたテキストとしてはいいのかもしれませんが、説明が簡潔すぎ、練習問題(訳読)の答えもないというのでは独習は不可能。
ブックマーク=#kototabi

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町田和彦『ことたび ヒンディー語』
2003.白水社.ISBN4-560-00598-2.1900円+税.CDつき.A5−139ページ.
 街の看板の写真など多く、ビジュアル的に見てて楽しい会話の本。 CDつきでこの値段は安い。
 ただし内容は基本例文を次々単語を言い換えていくだけなので無味乾燥。たとえばp.25では「水をください」「紅茶をください」「コーヒーをください」「ビールをください」「ソーダをください」なんていうふうになっているので、まぁさすがに「〜をください」という言い方はイヤでも覚えるでしょう。ただ、「水」「紅茶」「コーヒー」「ビール」「ソーダ」というところに順序の必然性がないので、意外に覚えにくいというわけです。『基礎ウルドゥー語』で私が批判した欠点とまさに同じ。
 CDにはちゃんと日本語も吹き込まれていて、テキストなしで聞いてもわかる点ではまだ『基礎ウルドゥー語』よりまし。でも内容のある対話のほうがいいという人は、次の『こうすれば話せる〜』を選んだほうがいいかもしれません。
 ところで本文中に出てくるイラストの若い男女はどういう関係なんでしょう。新婚夫婦なのか恋人なのか。妙に気になっております。
ブックマーク=#aahintxt

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町田和彦編『ヒンディー語研修テキスト』
1994.東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所。無料。WEBからダウンロード可能(記事内にリンクあり)。
 東京外国語大学のAA研が毎年実施している言語研修のテキストがPDF化されていくつか公開されています(→「PDF版言語研修テキスト一覧」)。インドの言語関係ではヒンディー語、ウルドゥー語、マラーティー語、ベンガル語、テルグ語、カンナダ語、タミル語、ネパール語があるようですが、このうちヒンディー語のみWEBからダウンロード可能です。「文字と発音」(39)、「文法」(60)、「語彙集」(268)の3部作です。( )内の数は正味ページ数。
 URLを直接リンクするとさしさわりがあるかもしれないので、「PDF版言語研修テキスト一覧」というページからダウンロードしてください。ヒンディー語は1981年と1994年に開講されたようですが、1994年のほうのみダウンロード可能です。TeXを用いた組版でとてもきれいです。
 こういうテキストは授業を前提にしているので説明が簡潔すぎて独習にはつらいかもしれませんが、ある程度勉強した人が知識の整理をするのにはとても役立ちます。
 特に圧巻なのが語彙集で、上記のように正味268ページもあります。語数不明ながら、各ページ15〜20語ほどなので、4000数百語程度と思われます。ウルドゥー語は『ウルドゥー語常用6000語』という基礎語彙集が出版されているのにヒンディー語には適切な語彙集が存在しません。が、こうしてWEBから無料でダウンロードできてしまうわけで、ぜひこれはダウンロードして全ページ印刷しておくといいでしょう。
ブックマーク=#kosureba

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町田和彦、テージ・クリシャン・バーティヤー『こうすれば話せる ヒンディー語』
2001.朝日出版社.ISBN4-255-00090-5.A5−154ページ.CDつき.2600円+税
 『エクスプレス ヒンディー語』同様に文法が簡潔にまとめられているだけでなく、『ことたび ヒンディー語』のようなビジュアル的要素を充実させた本。 ただし本文はいろいろな意味でかなりマニアックで、私のような頭の固いじいさんはのけぞっちゃいました。 『エクスプレス〜』同様、著者の一人町田和彦氏の「町田和彦のホームページ ヒンディー語の世界にようこそ」では、 この本の主要部分(本文、語彙など)を見たり音声を聞いたりすることができますんで、 どういう意味でマニアックなのかは、ここで確かめてみてください。 それからCDの会話もかなりスピードが標準的(つまり初心者には超速)。 これもこのHPで確かめることができます。
ブックマーク=#sshindi

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『SS式すぐに話せる!ヒンディー語』
2000.ユニコム.ISBN4-89689-307-7.1600円+税.新書−214ページ.
CD2枚がセットになったものはISBN4-89689-375-1.5600円+税.
 この会社が出しているSS式とはSwift and Sure(速く、正確に)ということらしいですが、簡単な会話の例文を日本語→外国語の順に吹き込んであるというのが特徴です。そのおかげで本がなくてもCDだけで練習ができる、いわば「ハンズフリー」になっており、カーステレオや満員電車の中でも練習できてとても便利です。ただし、基本例文を単語を次々入れ換えて繰り返すのは一長一短で、その例文の文型はイヤでも覚えるでしょうが、単語を覚えるのには無味乾燥すぎて効果が低いかもしれません。この点で上の『ことたび ヒンディー語』で指摘したのと同じ難点があります。価格もちょっと高めなのでこれだったら『ことたび〜』を買っちゃうんじゃないでしょうか。
ブックマーク=#yubi

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岡口良子『旅の指さし会話集22・インド(ヒンディー語)』
2001.情報センター出版局.ISBN4-7958-1903-3.1500円+税.A5−128ページ.
 このシリーズはあなどってはならない。 イラクの自衛隊員もこのシリーズの「イラク」を活用しているらしい。 ビジュアル的に楽しいし、けっこう語彙は多い。 本文の手書きデーヴァナーガリー文字はけっこう読みやすくてよい。 インドや東南アジア系の文字は、下手な人が書くと読めたもんじゃないけど、 これはていねいに書いてある。
 なお、「旅の指さし会話集」のサイトはこちら。 これの「パキスタン(ウルドゥー語)」って出さないのかな。 イラクや北朝鮮を出すんならパキスタン出してもいいと思うんだけど。
その後2007年9月に「パキスタン(ウルドゥー語)」が出た。
ブックマーク=#travelhn

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植松明子『ヒンディー語トラベル会話ハンドブック』
1994.国際語学社.ISBN4-905572-82-7.1650円+税.B6−121ページ.
 印字密度の粗いプリンタで作った粗末な版下なのが残念ですが、作られたのが1994年ということを思えばけっこう苦労したのかもしれません。「旅の指さし会話集」的にけっこう工夫しており、決して悪い本ではないのですが、いかんせん上記「旅の指さし会話集・インド」が出てしまった今となっては、それに対抗するのは難しいかもしれません。
ブックマーク=#jhnkw

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石田英明『実用ヒンディー語会話』
1993.大学書林.ISBN4-475-01335-6.4500円+税.カセット別売(全2巻.6000円+税).B6−281ページ.
 最近はインドがITで注目されているせいなのか、安価なヒンディー語会話の本が多いですね。そんな中にあって本とカセットと両方そろえて1万円を超えるこの本はちょっと古いし高いなぁ。そもそも書店でも入手困難になりつつあるかもしれない。
 しかしこの本は他のヒンディー語会話の本にない一大特徴があるんだな。それは、同じ大学書林の『実用ウルドゥー語会話』と9割方同じ内容だってことなんですね。実用ウルドゥー語会話が281ページ。これも281ページでしょ? 全体のページ数が同じというだけでなく、なんと各ページの内容・体裁が最初から最後までぴったり対応するんです。
 これは盗作なのではなく、意図的にそうしているのです。ウルドゥー語とヒンディー語は本来同じ言語なのであり、そのことを実証するために、先行書籍の『実用ウルドゥー語会話』とまるっきり例文を同じにしてあるのです。ただしパキスタン関係の固有名詞や行事にかかわる部分はインドのものに改めているので違います。あとは、どうしても語彙が違う部分は変更してある。だからこの両者を両方買って対比すると、ウルドゥー語とヒンディー語の違いが端的にわかるんですね。
 そんなわけで、ウルドゥー語とヒンディー語の関係に興味のある方は、高いですけどぜひ両方を買い揃えてみてください。
 『実用ウルドゥー語会話』のほうに書いたように例文は生き生きとしていて面白いです。
 (私は未確認ですが、大学書林から出ている『実用マラーティー語会話』も『実用ウルドゥー語会話』との例文の共通性があるらしいです)
ブックマーク=#hnren

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土井久弥 編『ヒンディー語会話練習帳』
1979.大学書林.ISBM4-475-01258-9.2600円+税.カセット別売(全1巻.4000円+税).新書−122ページ.
 大学書林の「会話練習帳」シリーズのヒンディー語版。「会話練習帳」シリーズという統一感はありますが、上に書いた『実用ウルドゥー語会話』→『実用ヒンディー語会話』みたいに、意図的に内容を同じにしているということはありません。内容は違います。だいたい『ウルドゥー語会話練習帳』の192ページに比べても異様にページ数が少なく薄っぺらい。
 薄っぺらさの原因は、活字のポイント数を小さめにした組版をしていること。ただ、日本語やローマ字はいいんだけど、デーヴァナーガリーが猛烈に小さくて、老眼が入りはじめた私には判読がつらい。これは小さすぎます。
 ウルドゥー語同様に、これ買うなら、多少高くても上の『実用ヒンディー語会話』のほうがいいかなぁ。
 ただ、特徴のない会話練習帳シリーズの中ではこの本は一つだけ特徴があって、ところどころにインドの生活文化に関するとっても面白い脚注がついている。これはもう脚注というよりコラムという感あり。しかしながら、会話練習帳シリーズすべての方針なんだろうけど、会話の場面がすべて日本だというのが、この魅力ある脚注となんともミスマッチ。
ブックマーク=#wwhindi

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『地球の歩き方・旅の会話集8(ヒンディー語 ネパール語/英語)』
1993/1997.ダイヤモンド・ビッグ社.ISBM4-478-03180-0.1440円+税.A6−316ページ.
 「地球の歩き方」シリーズの会話本。音声教材はありません。本来こういうのは旅行に持参して必要なページを片手に言ったり相手に指さして見せたりするという使い方をするものですが、そういう使い方にうってつけの「旅の指さし会話集」が出てしまった今となっては価値が半減しているかもしれません。
 各ページの下には旅行上のアドバイスが書かれているのがいかにも「地球の歩き方」シリーズ風ですが、p.36とp.44、p.38とp.46、p.56とp.64の内容がまったく同じというのはあきらかに編集上のミス。1997年に改訂され、しかも私が持っているのは2000年に出た第2版第2刷だというのに、こんな重大なミスが放置されているというのはなんだかなぁ。
 あとは、ヒンディー語とネパール語が一緒というのは、両方の言語が話されている地域に行くなら便利かもしれませんが、私はやっぱりそれぞれ別にしたほうがよかったのではと思ってしまいます。
ブックマーク=#pcand

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土井久弥 訳注『プレームチャンド短編選集』
1985.大学書林.ISBM4-475-02402-1.4200円(税込).B6−184ページ.
 大学書林から出ているヒンディー語の読解教材の一つ。プレームチャンドは20世紀前半の代表的なウルドゥー語/ヒンディー語作家。『梵天の道化芝居』『ラーマ劇』『供犠』『屍衣』の4編。なお、ウルドゥー語版のテキストも収められているので読み比べると面白いかもしれません(プレームチャンドの作品は、ウルドゥー語とヒンディー語は別バージョンであり、かなり違います)。
ブックマーク=#hfolk

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坂田貞二 採録・訳注『ヒンディー語民話集』
1999.大学書林.ISBM4-475-02441-2.4200円+税.B6−199ページ.
 大学書林から出ているもう一つのヒンディー語の読解教材。拓殖大の先生である筆者が採録した民話14編。私はあんまり民話には興味ないんですが、読解教材としては著名な文学作品なんかよりは基本表現がしっかり練習できるかもしれません。
ブックマーク=#tyhindi

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Rupert Snell with Simon Weightman : hindi. teach yourself books
2000.(Hodder Education). ISBN0-340-75816-3 UK L14.99.カセット2巻つきはISBN0-340-75817-1 UK L29.99
 teach yourselfのシリーズから出ているヒンディー語の学習書。 第1課からかなり飛ばすので、これを初めてやるとかなり挫折する可能性が高いです。 だから同じシリーズで同じ著者が、biginner's〜を別に出してるのかな。
 でも逆に、他の学習書を一通り終えた人がもう一度基礎の仕上げをするのには適しているかもしれません。一般に初級教材の最初って文字と発音がかなり長々とあって、 一度やった人にはかったるいですが、これは必要最小限なんでそんなこともありませんし。 やっぱりteach yourselfのシリーズは他の教材よりダイヤログや語彙がよく洗練されてるなって思いますから、 中級にステップアップしてからの復習教材に最適かもしれません。
 ところでこのテープ、女性アナウンサーが「この課では、キャーが何という意味であることを学びます」みたいに、 文法項目をいちいち英語で説明するんですが、 その中に出てくるヒンディー語語彙のところだけ、 男性ネイティブがしゃべってるのがなんとも律儀でほほえましいです。
ブックマーク=#tybh

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Rupert Snell : beginner's hindi. teach yourself books
2003.London (Hodder Education). ISBN0-340-85652-1. UK L7.99.2枚組CDつきはISBN0-340-85654-8.UK L19.99.
 teach yourselfのシリーズからは Beginner's Hindi というのも出ています。  一応の目標は everyday communication ということなんですが、 文法も一通りのことはやるんで、 日本でいえば『基礎ウルドゥー語』レベルくらいかなと思います。 だから決してレベルは低くありません。 これが標準というところでしょうか。 英語の参考書でもいいっていう人は、初めてやるならやっぱりここからですね。 入門者むけにいろいろ趣向をこらしてますが、クロスワードパズルもあって面白いです。
ブックマーク=#llhindi

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HINDI. A Complete Course for Beginners
2007.(Living Language(Random House)). ISBN1-400-02345-9 USD49.95.368ページ+CD6枚
 teach yourselfと並んで語学学習書のシリーズとして定評のあるLiving Languageのシリーズから出たヒンディー語の学習書。本の中表紙にはSunil Kumar Bhatt Ph.D.という著者名が書かれていますが、著者無記名というのがliving languageシリーズの方針のようで、書籍データとしては著者名がありません。
 CDとのセットしかなく、個別のバラ売りはしていません。他の本ではバラ売りしているものもありますが、セットしかないのは2007年と最近になって出たからなのでしょう。いまや語学書はCD付きが当たり前でバラ売りはナシというわけですね。
 レベル的にはteach yourselfのhindi(Beginner'sじゃないほう)と同程度ですからなかなかハードだと思いますが、特徴はCDの枚数の多さ。なんと6枚です。どうしてかというと、各ダイヤログの新出単語や文型や文法事項を全部収録してるからなんですね。これがteach yourselfとの大きな違いです。ちゃんと単語や文型などの発音練習をじっくりしたいという向きはこちらを、そんなのわずらわしいという人はteach yourselfを選べばよいのではないでしょうか。まあ、ダイヤログだけ聞きたい人はチャプターを飛ばせばliving languageでもいいんですけどね。そうすると、teach yourselfのhindiじゃハード、とはいえBeginner'sじゃ物足りないという向きにぴったりということでしょう。
ブックマーク=#wrthindi

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町田和彦『書いて覚えるヒンディー語の文字 デーヴァナーガリー文字入門』
1999.白水社.ISBN4-560-00541-9.2000円
 ヒンディー語のような特殊な文字を使う言語では、最初に文字の読み方書き方をしっかりやらないと簡単な文章すら学ぶことができません。 サンスクリットは最初はローマ字から入るほうが普通ですが、 それでもやっぱり初心者は文字の書き方が気になるようで、必ず文字の筆順に関する質問が出るようです。 筆順にこだわるあたりは日本人らしいのかもしれませんけどね。
 そんなわけで文字の読み方書き方にしぼった参考書はけっこう需要があるんですが、 それだけじゃすぐ終わってしまうんで、やっぱりいろいろ、 語彙や簡単な文章や挨拶を覚えるなど、語学書としての奥行きがほしいところ。 ただしあまり奥行きを深くしちゃうと普通の参考書になっちゃうしね。 そういうバランスがとれた本はなかなかないんですが、これはその例外で、 単に文字の筆順だけでなく、音韻、語彙などに関することも充実しているし、 それが読み物として楽しめる形になっています。 サンスクリットで a- の省略に使われるアヴァグラハ記号が、 現代では「助けてー!」のような長音表記に使われたりするなんて、この本で初めて知りました。 そういう雑学的知識もついて面白い本。
ブックマーク=#hshape

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小磯千尋『ヒンディー語のかたち』
2004.白水社.ISBN4-560-00642-3.1300円.B6−111ページ.CDつき.
 デーヴァナーガリー文字入門を思い切りビジュアル的にした本。 これもなかなか楽しい。
ブックマーク=#tybhs

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Rupert Snell : beginner's hindi script. teach yourself books
2000/2003.(Hodder Education).B6−164ページ.
 teach yourselfのシリーズからは、hindi と beginner's hindi に加えて、このような文字の練習本が出ています。 L 7.99ですから2000円前後で購入できるでしょう。 これもやはり単なる文字の練習本ではなく、語学的知識とのバランスがよくとれている本。 看板の写真などいろいろ入っていてビジュアル的にもおもしろいうえ、 終わりのほうには手書きの文章の例などもあります。 語彙や文章もけっこう高度なことまでやります。
ブックマーク=#mitenagr

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町田和彦(監修)『見て・聞いて・読んでみるナーガリー文字』
2007.同友館.ISBN978-4-496-04322.1900円+税.B6−55ページ.
監修者として町田和彦氏の名前がクレジットされていますが、実質的には今人舎(こどもくらぶ)という児童書・絵本・教育書を中心とする出版社が制作した、アジアの文字の読み書きを練習するシリーズで、他には「ハングル」「ビルマ文字」があります。本書は「ナーガリー文字」とありますが、実質的にヒンディー語のナーガリー文字であり、他の言語は考慮されていません。
上でいくつか紹介した文字練習参考書は、単に文字の読み書きだけでなく簡単な会話までふみこんでいますが、本書は後のほうにほんのちょっとヒンディー語の単語などが出てくるだけで、本当に文字の読み書きに徹しています。55ページというブックレット的な体裁もあって内容の深みに欠けますが、読み書きを練習する副教材と割り切って使えばいいのかもしれません。
なお、今人舎(こどもくらぶ)が別に販売している「音筆」というハードウェアに対応しており、これを用いれば、ページを軽く触れるだけで音声が聞けるらしいです。
ブックマーク=#tyhncnv

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Rupert Snell : Hindi Conversation. teach yourself books
2005. 3 CDs and booklet(48 pages) Hodder & Stoughton Ltd.
 2005年になってteach yourselfのシリーズから立て続けに出されたCD&ブックレットによる会話シリーズのヒンディー語版。ブックレットはダイヤログのヒンディー語と英語の対訳のみで、しかもヒンディー語はデーヴァナーガリーを用いずローマ字転写のみなので、CDを聞かずにブックレットだけ見てしまうと非常にちゃちな印象を受けますが、それは誤りです。
 このシリーズはいわばCDブックであり、あくまでCDがメイン、いやCDがすべてです。すべての説明・解説はすべてCDに吹き込まれており、ブックレットはそのうちのダイヤログ部分を書いてあるにすぎません。ですからブックレットなしでも聞くことができます。従来の音声教材のように、単に書籍に出てくる外国語部分を吹き込んであるだけなので書籍を手にせずにCDだけ聞いてもわからないということはありません。車の運転中にカーステレオで聞くこともできるし、満員電車の中で聞くこともできます。
 もっとも英国で出たものですから当然ながら説明はすべて英語です。英語の聞き取りが苦手な人にはつらいかもしれませんが、それは仕方ありません。
 最初からこのCDで勉強するのは無理ですが、副教材として使うと効果的でしょう。
ブックマーク=#euhindi1

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はじめてのヒンディー語
eurotalk interactive.(日本国内販売元はインフィニシス).2002.London. オープンプライス(希望小売価格は3950円).CD-ROM1枚.
 イギリスのeurotalkという世界各国語の語学教育用CD-ROM「Talk Now!」のシリーズです。 インフィニシスのサイトによれば店頭売りをしていないようですが、池袋のジュンク堂の8Fでは売ってます(税込3050円)。
 WindowsとMac OS共用です。 製品の裏にはWindowsは日本語版のみのように書いていますが、まんどぅーかはハングルWindowsでも動作確認しました。 しかもハングルWindowsで起動すると、ヘルプやメニューの類がすべて韓国語になります。 なお、ヘルプやメニューの類の言語は変更することも可能ですから、何なら日本語Windows上で韓国語メニューにすることもできます。
 このCD-ROMは基本的には単語を覚えるためのものです。 基本単語/食べ物/色/語句/体/数/時間/買物/国という9つのカテゴリーにわかれた294個の単語あるいは短文を覚えるためのもので、 それぞれのカテゴリーの下に「言葉の練習」(単語を一つ一つ聞くことができる)「話す練習」(自分の声をマイクを使って録音して聞き比べることができる) 「ゲーム」(シャッフルなどして覚える)「図鑑のプリント」(単語一覧を印刷する)などということができるようになっています。
 長所は、サポートしている言語の種類がやたらと多いこと。 インド関係でいっても、アッサム/ウルドゥー/カンナダ/グジャラティー/シンド/タミール/テルグ/パンジャブ/マラヤラム/ヒンディー/ベンガル語があり、周辺でいえばシンハラ/ネパール/チベットもあります。 また動作環境も幅広いことが長所です。
 短所は、(目下ヒンディーとウルドゥーしか確かめてませんが)たぶん全ての言語で覚える単語の種類が同じであること。 たとえば数字は0から20までを覚えるのですが、これは全ての言語でそうなっているんでしょう。 ご存知のとおりヒンディー語やウルドゥー語では、数字は100まで全部覚えねば役に立たないわけですが、 そういう個別の言語の事情におかまいないところがあります。
 あと、これは「はじめてのヒンディー語」だけにいえることですが、プログラムの中で「ヒンズー語」という表記になっているのはいただけません。
ブックマーク=#euhindi2

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耳で覚えるヒンディー語
eurotalk interactive.(日本国内販売元はインフィニシス).2002.London. オープンプライス(希望小売価格は3950円).CD-ROM1枚.
 上記と同じくeurotalkという世界各国語の語学教育用CD-ROMですが、こちらは中級用の「World Talk」のシリーズです。 中級のこのシリーズで出ているインド系言語は目下ヒンディー語だけです。 10個のカテゴリー別に聞き取りをして正解を選んでいくんですが、さすがに中級だけに一通り初歩を終えていないとつらいです。 上記の「Talk Now!」シリーズとのギャップが……。
ブックマーク=#olhngr

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R. S. McGregor : Outline of Hindi Grammar
1972/1976/1995. Oxford University Press. ISBN0-19-870008-3
 Oxford Hindi-English Dictionaryの編者McGregorが書いた文法書。文法の順番に並んでいるので文典としても使えますが、豊富な練習問題(答えつき)による入門書になっています。カセットつきの本もあったようですが現在では入手不能。音声教材が入手不能でダイヤログもないので会話表現を学ぶのはムリですが、読解と作文の豊富な練習問題を解きながら力をつけていくという、サンスクリットのような古典語的学習法が性にあっている人には最適かもしれません。Oxford Hindi-English Dictionaryと用語やローマナイズなどが同じなので、この辞書を持っている人には便利です。
ブックマーク=#brbhrd

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Rupert Snell : The Hindi classical tradition : a Braj Bhasa reader
1991.School of Oriental & African(University of London). ISBN0-7286-0175-3. B5−259ページ.
 この本の内容を説明するためには、「ブラジュ・バーシャー()って何」ってことから説明しなきゃいかんですね。ヒンディー語はウルドゥー語に比べて文学的洗練の歴史は浅いのですが、かといって決して歴史がないわけではありません。現代のヒンディー語は19世紀中ごろに、かなりウルドゥー語に近い形の方言をもとに整備されましたが、それまでにも俗語の文学としてヒンディー語の文学はあったわけです。しかしその多くはアーグラーやマトゥラーといったウッタル・プラデシュ(UP)州南部、すなわちブラジュ地方の言葉を基調としていました。これがブラジュ・バーシャーです。いわば「ブラジュ語」というわけですね。このあたりはデリーからは200キロ程度しか離れていないんですが、その言葉はデリーの言葉とかなり違いました。そういうブラジュ・バーシャーで書かれた文学の対訳集。冒頭に文法や韻律の概説があり、巻末に語彙集があり、ブラジュ・バーシャーを読もうという人の必読入門書です。
 私が入手したのが米国で$34.95、某通販で4036円+手数料でした。
 なお、ここから出版されたHindi and Urdu since 1800: a Common Readerも、近代ウルドゥー語/ヒンディー語の勉強に欠かせないのですが、もう絶版みたいです。アマゾンで誰かが13000円くらいで出品してましたが、ちょっと手が出ないなぁ。
※次の書籍は絶版なので、絶版の名著ページをご覧ください。


※ご意見、ご教示などは、に戻り、掲示板あるいはメールで賜るとありがたく思います。