マハーバーラタ 3-163-42

ゴンダ文法選文9にも採録(その4)

[詩]

語(連声前) 説明語義

受現単３見られた

接かくて

副目の当たりに

形男単主聖なる

名男単主 (人名)

日本語訳…… かくて私の目の前に、聖なる雄牛を旗印とする神(＝シヴァ)が見えた。
備考……

語(連声前)	説明	語義
	受現単３	見られた
	接	かくて
	副	目の当たりに
	形男単主	聖なる
	名男単主	(人名)

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	名女幹	(人名)
	名男→形男単主	伴侶
	名男幹	蛇
	尾男単主	～を持ち
	形幹＋名中→形男単主	多様な・姿
	名男幹＋尾男単主	棍棒と弓・を持ち

日本語訳…… ウマーを伴侶とし、蛇を持ち、多様な姿をし、棍棒と弓を持ち、
備考…… ゴンダ文法(日本語版のみ)で註10がここについているのは、韻律の話らしいのだが、そこを見てもよくわからない。

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	代男単主	彼は
	名男単対	私(を)
	絶	近づいて
	名男単処	交戦において
	副	それにもかかわらず
	副	それにもかかわらず
	副	～に向かって
	←過分男単対	立っている

日本語訳…… 彼は交戦中にもかかわらず、立っている私に近づいて、
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	名中幹	ほこ
	名男単主	手
	接	そこで
	能完単３	言った
	←過分男単主	満足した
	能現単１	私は～ある
	接	～と
	形男単呼	敵を苦しめる(者)よ

日本語訳…… そこで、ほこを手にして彼は言った。「私は満足した」と。敵を苦しめる者(＝大王)よ。
備考…… この次に省略部あり。こちらを参照。

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	名中単対	不死
	前	[対]を除いて
	能命単２	言え
	接	～こと
	代単属	お前の
	名中単主	願い

日本語訳…… (シヴァ)「不死(になる願い)を除いて、お前の願うことを言え」
備考…… ここは省略部分の続きで、 45の5・6句になる。

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	接	かくて
	形男単主	合掌して
	副	まさに
	代単主	私は
	名中複処	矢→武器
	過分幹＋名中→形男単主	望んだ、考えた

日本語訳…… かくて私は合掌して、武器を望んだ。
備考……

は直訳すれば「はせる思い」「思いをはせる」だが、この逆順の

が「考え、願い、望み」という意味の中性名詞になるので、「考える、願う、望む」と訳すのがいいだろう。ゴンダ文法の註により、

は以後「武器」と訳す。

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	絶	敬礼して
	名中単具	心によって
	名男単対	シヴァを
	接	それから
	名中単対	語り始めた(←言葉を与えた)
	反完単１	語り始めた(←言葉を与えた)

日本語訳…… そしてシヴァを心から敬礼し、私は語り始めた。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	名男単主	尊者が
	代単為	私に
	←過分男単主	憐れみをたれる
	接	もし～ならば
	← ←意過分男単主	得ようと思われる
	代男単主	これ
	名男単主	望みが
	代単属	私の

日本語訳…… 尊い神よ、もし私に憐れみをたれるならば、私はこれを望みます。
備考…… 後半の直訳は「私にとって、この望みが、得ようと思われた」

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	名中複対	武器を
	能現単１	欲する
	代単主	私は
	不定	知る
	代中複対	～を
	名男複処	神々において
	代中複対＋尾	何でも

日本語訳…… 神々のところにある武器を何でも、私は知りたい。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	能命単１	与えるべし
	接	～と
	副	まさに
	形男単主	聖なる
	能過単３	言った
	名男単主	シヴァ
	接	そして
	代単対	私(を)

日本語訳…… そして聖なるシヴァは私にまさしく「与えよう」と言った。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	形中単主	恐ろしい
	名中単主	武器は
	形中単主	私の
	代単対	あなた
	能未単３	[対]の手に落ちるだろう
	名男単呼	(固有名)よ

日本語訳…… (シヴァ)「パーンドゥ王の子(＝アルジュナ)よ、私の恐るべき武器はお前の手に落ちるだろう」
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	能完単３	与えた
	接	そして
	代単属	私(の)
	←過分男単主	満足した
	代男単主	彼は
	名中単対	武器を
	形中単対	シヴァの
	形中単対	偉大なる

日本語訳…… そして満足した彼は私に偉大なるシヴァの武器を与えた。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	能完単３	言った
	接	そして
	頭＋名男単主	偉大なる・神は
	絶	与えて
	代単為	私に
	名中単対	武器を
	形中単対	永遠の

日本語訳…… そして偉大なる神は私に永遠の武器を与えて言った。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	副	→
	名中単主	使用
	能願単３	あるべし
	代中単主	これ
	名男複処	人間たちにおいて
	副＋尾	決して～ない

日本語訳…… (シヴァ)「これは決して人間に使用してはならない」
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	名中単対	世界を
	能願単３	焼き尽くすべし
	副	このように
	形幹	わずかな
	名中単処	力において
	← ←使過分中単主	落とされた

日本語訳…… このようにわずかな力において落とされただけで、世界を焼き尽くすだろう。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	←受現分男単具	圧迫されることによって
	形幹→副	力のある→力づよく
	名中単主	使用が
	能願単３	あるべし
	名男単呼	アルジュナよ

日本語訳…… (シヴァ)「アルジュナよ。(お前が)圧迫されたときだけ使用すべし」
備考…… ゴンダ文法の註13は、

の意味上の主語が「あなた」だということ。また註14は

を副詞的にとれということなのだが、これは次の

にかかる形容詞の中性単数主格ととっても問題ないと思う。
なお、次に省略(50の後半と51の前半)がある。こちらを参照。

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	形中単主	具体的な
	代単属	私の
	←過分中単主	現れた
	名男単処	傍らに
	←過分男単処	憐れみをたれる
	名男単処	(固有名)

日本語訳…… 憐れみ深いシヴァ(雄牛を旗印にする神)のところに、すなわち私のそばに、具体的な(形をした武器)が現れた。
備考……

[詩]

語(連声前) 説明語義

名中単主絶滅

名男複属敵たちの

形幹他の

名女幹軍隊

名中単主虐殺

日本語訳…… 敵たちを絶滅し、他の軍隊を虐殺する。
備考…… この次に省略あり。こちらを参照。この部分は次の省略部分も含めて、前部分の「具体的な(武器)」にかけて訳すとよい。

語(連声前)	説明	語義
	名中単主	絶滅
	名男複属	敵たちの
	形幹	他の
	名女幹	軍隊
	名中単主	虐殺

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	←能過分男単主	憐れみをかけられた
	接	(強意)
	代単主	私は
	代男単具	彼によって
	副	そこで
	副	まさに
	能過単１	座った

日本語訳…… 彼に憐れみをかけられた私は、まさにそこ(彼のいるところ)に座った。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	能現分男単属	見ている
	接	そして
	副	まさに
	代単属	私の
	名男単主	神は
	副	そこから
	副	まさに
	受過単３	消えうせた

日本語訳…… そしてまさに私の目の前で、神はそこから消えうせた。
備考…… 冒頭では「インドラ神とシヴァ神に会った」とあったが、ここまでがシヴァ神に会った話。この次からがインドラ神に会った話になるのである。