ジャータカ308(2/2)
すばしこい鳥の本生物語

(キツツキの詩)
♪「私たちはあなたに、力の限りのなすべきことをなした。鹿の王よ、あなたに敬礼があるべし。

[註]この詩で、「私たちはあなたに、なすべきことをなした」というのは、「おおライオンよ、私たちもあなたに1つのなすべきことをなした」という意味。「力の限りの」とは、「私たちの力があった限り、その力によって、それゆえに何かをできる限り私たちはした」ということ。

それを聞いてライオンは第二の詩句を言った。
♪「常に残酷なことをしている、血を飲み食いする私の歯の間に入っていて、お前が生きているというのは驚くべきことだ」と。
それを聞いて鳥は残りの2つの詩句を言った。
♪「恩知らずの者、よいことをしない者、なされたことのお返しをしない者、(キツツキ)「そういう者には報恩の念がない。彼へのお世話は無益だ」
♪「その人に向かってはっきり見える形でふさわしい行為をすることによっても、友情が得られなければ、そういう人からは、ねたまず、ののしらず、ゆっくりと離れるべし」と。

[註]この詩で「恩知らず」とは、「なされた親切を知らない」ということ。「よいことをしない」とは「何かをしないこと」「はっきりとした適した行為によって」とは、「はっきりとなされた親切によって」。「ねたまず、ののしらず」とは、「ねたまず、ののしらず、ゆっくりと悪人から離れるべし」ということ。

こう言ってその鳥は飛び去った。

師匠(世尊)はこの法話を取り上げて本生物語と結びつけた。
「その時のライオンはデーヴァダッタであり、しかるに鳥はまさに私であった」と。

鳥の本生物語解説第8

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