ジャータカ308(1/2)
すばしこい鳥の本生物語

「あなたのためになすべきことを我々はした」という詩を含むこの話は、師匠(世尊)がジェータヴァナ(祇園精舎)に滞在していたとき、デーヴァダッタの恩知らずの性質について語ったものである。
「乞食修行者(比丘)よ、今だけでなく、デーヴァダッタは以前もやはり、まさに恩知らずだったのだ」と言って、過去のことを語った。

昔、ヴァラナシでブラフマダッタ王が国を治めていたとき、菩薩はヒマラヤ地方でキツツキとなって生まれた。
さて一匹のライオンが肉を食べていて、骨がのどにかかった。のどがふくれて、えさを得ることができず、はげしい痛みが生じた。
さて、えさ探しに熱中していたかの鳥は、ライオンを見て枝にすわり、「友よ、君の苦しみは何か」と質問した。ライオンはキツツキにわけを話した。
(キツツキ)「友よ、私は君のためにこの骨を取り除いてやろう。しかし怖くて君の口には入ることができない。たぶん君は私を食べるだろうから」と。
(ライオン)「友よ怖れるな。私は君を食べない。私を助けてくれ」と。
キツツキは「よろしい」とライオンを横向きに寝かせて、「このライオンがいったい何をするか、誰がわかるだろうか」と思って、口を閉じることができないように、ライオンの下あごと上あごの間に棒を置いて、口の中に入り、骨の先端をくちばしでつついた。骨は落ちて行った。キツツキは骨を落としてライオンの口から出て、棒をくちばしでつついて落とし、そこを出て枝の先に座った。
ライオンは健康になり、さっそくその日に森林の水牛を殺して食べた。鳥は、「ライオンを試してみよう」と、ライオンの上方の枝にとまって、ライオンと一緒に会談し、第一の詩句を言った。

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