連声規則(作文編)

サンスクリットの連声規則をまとめてみますが、「作文編」と称して、「この語尾は、次にこれが来るとこうなり、これが来るとこうなる」という形でまとめてみます。 ふつうの文法書も基本的にそうなっているはずですが、さらに語尾中心のまとめを徹底してみようというわけです。 内連声も随時扱いますが、語形変化表には通常内連声の結果が反映されているので、一部割愛したものもあります。 実際の文章を解読するのに便利な「解読編」はこちら


語尾の目次
 
   
注意すべき内連声 母音の交替

1.

次語の状況変化後備考
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される

2.

次語の状況変化後備考
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される
 連続表記される

3.

次語の状況変化後備考
 連続表記される
 連続表記される
その他の母音  

4.

次語の状況変化後備考
 連続表記される
 連続表記される
その他の母音  
※両数語尾は一切変化しない。

5.

次語の状況変化後備考
 連続表記される
 連続表記される
その他の母音  

6.

次語の状況変化後備考
 連続表記される
 連続表記される
その他の母音  
※両数語尾は一切変化しない。

7.

次語の状況変化後備考
以外の母音  

8.

次語の状況変化後備考
以外の母音  

9.

次語の状況変化後備考

10.

次語の状況変化後備考
 次の語ののほうがに変化する。
以外の母音 次の語とは離して書く。これ以上さらに音変化しない。
※両数語尾は一切変化しない。

11.

次語の状況変化後備考
全ての母音 次の語とは離して書く。これ以上さらに音変化しない。

12.

次語の状況変化後備考
 次の語ののほうがに変化する。
以外の母音 次の語とは離して書く。これ以上さらに音変化しない。

13.

次語の状況変化後備考
全ての母音  

14.

は本来 , のはずなのでそちらを参照。
(呼びかけの間投詞)は有声音の前でとなる。

15.

次語の状況変化後備考

16.

次語の状況変化後備考

17.

次語の状況変化後備考
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

18.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

19.

/td>
次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

20.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

21.

次語の状況変化後備考
母音 の前が短母音の時のみ

22.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

23.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

24.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
絶対語末  
有声音  
有声音  
 次語の に変わる
 次語の に変わる
鼻音  
鼻音  

25.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

26.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
母音 の前が短母音の時のみ

27.

次語の状況変化後備考
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

28.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

29.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

30.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

31.

次語の状況変化後備考
母音 の前が短母音の時のみ

32.

次語の状況変化後備考
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  
,  
,  
,  
,  
  
 次語の に変化

33.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  
,  
,  
,  
,  
  
 次語の に変化

34.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  
,  
,  
,  
,  
  
 次語の に変化

35.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  
,  
,  
,  
,  
  
 次語の に変化

36.

次語の状況変化後備考
  
  
 次語のとなることもある
  
  
  
  
母音 の前が短母音の時のみ

37.

次語の状況変化後備考
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

38.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

39.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

40.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音  
 次語の に変わる
鼻音  

41.

次語の状況変化後備考
子音 このは、特にデーヴァナーガリー表記の場合、,,,,と書かれることもある

42.

次語の状況変化後備考

43.

次語の状況変化後備考
母音- 絶対語末  
 が消えるかわり、もしの前が短母音なら長母音になる
,  
,  
,  

44.

次語の状況変化後備考

45.

次語の状況変化後備考

46.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
絶対語末  
有声音  
有声音  
鼻音  
鼻音  

47.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
絶対語末  
有声音  
有声音  
鼻音  
鼻音  

48.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
有声音 ,を除く
,  
,  
,  
 が消えるかわり、もしの前が短母音なら長母音になる
 になるのが原則でこれは例外的
 になるのが原則でこれは例外的
 になるのが原則でこれは例外的
※-
次語の状況変化後備考
有声子音  
 次語の に変わる
以外の母音  
,((これ),(これ)の男性単数主格)は、子音の前では,になる。

※-
次語の状況変化後備考
有声音  

49.

次語の状況変化後備考
絶対語末  
絶対語末  
有声音  
有声音  
鼻音  
鼻音  

50.注意すべき内連声

●内連声(語形変化などに伴う語の内部での発音変化)は、通常の場合、語形変化表がもうそれをふまえた形になっているので、 規則としては特に覚えておく必要はありません。 しかし、以下に述べる規則はひんぱんに登場するうえ、多くの参考書ではこれらの変化をする場合を別立てしていない(当サイトではできる限り別立てしている)ので、 これらの法則を知らずに機械的に語形変化表をあてはめても正しい結果が得られません。そんなわけでぜひ知っておいてください。
 なお、これ以外の内連声規則については、文法概説−内連声をみてください。

A.語中のに変化する場合




途中に以下の音が入らない
,,,,
,,,,
,,,,
,


次に以下の音が来る
母音



つまり、などのそり舌音の影響でがそり舌音化してになるというわけなのですが、 影響を与える などが直前とは限らず同一語内ならかなり前にあってもかまわない、 その一方で途中にこれこれの音が来てはダメ、 というのがこの規則をわかりづらくしています。一応理屈をつけると…
 まず、影響を与える ,,,はそり舌音であり、しかも …などのような破裂音ではないのでそのそり舌の状態が継続します。 そこでを発音するときにそり舌でとなるわけです。 ただし、途中にそのそり舌状態を解除するような音が来てしまうとダメ……と考えればこの規則を理解しやすいのではないでしょうか。
 なお、辻文法や菅沼文法では、「途中に以下の音が入らない」ではなく「途中に介在を許される音」という説明のしかたをしていますが、経験的にいって、「これが来てもかまわない」ではなく「これが来てはダメ」のほうが判定がしやすいと思います。

B.語中のに変化する場合

以外の母音


()
途中に入ってもよい



次に以下の音が
来ていない


クシャトリヤ」「ハルシャ・ヴァルダナ」のように、 どうもインドの地名人名などは「クシ」「ルシ」という連続が多いと思ったら、 このように、のあとのに変わるという法則があったのです。 また、「ヴィシュヌ」のように、系以外の母音のあとのになるのです。 この規則はAのように理論で覚えるというより、 このように具体的な地名人名を思い出して、 ははーんなるほどと納得するのがいいのではないでしょうか。 名詞・形容詞の変化ではで始まる語尾が複数処格語尾しかなく、 子音で終わる語以外は、 変化表のなかでしっかりこの規則が適用されてしまっているので特に意識する必要はありません。 しかし動詞の活用ではひんぱんに登場するので注意が必要です。

C.母音の衝突

 主に母音語尾が接続するとき、語幹末の母音が次のような変化をします。
母音変化後
,
,
 要するに母音連続を避けて半母音を挿入するというわけです。 名詞・形容詞の変化では、変化表として覚えてしまうので特に意識しませんが、 動詞の変化ではかなり意識することになると思います。

51.母音の交替

●母音は語形変化などに際して二種類の変化をします。 元の母音を弱音階、 第一段階の変化を標準階(グナ)、 第二段階の変化を長音階(ヴリッディ)といいます。
弱音階  
標準階(グナ)
長音階(ヴリッディ)  
のグナが、ヴリッディがとなることがあります。

※ご意見、ご教示などは、に戻り、掲示板あるいはメールで賜るとありがたく思います。