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ヒンディー語の文字

Since 2004/4/26 Last Updated 2006/9/7


  1. 母音
  2. ローマ字
    独立、語頭体
    子音と結合するとき
     上の表の1行目は、母音単独の形であり、 母音で始まる場合、母音が連続する場合にしか用いられません。
     デーヴァナーガリーは音節文字であり、 次の「子音」で述べる子音字は、 すべてを含んでいます。 このを他の母音に変えたい場合、 上の表の2番目の行の、赤字のような記号を付加します。 上の表はを変えて、 …を表わしているわけです。
     例外として、 ()、 ()、 () の形に注意してください。

  3. 子音(昔からある音)
  4. 無声/有声 無声 無声 有声 有声 (有声) (有声) (無声) (有声)
      無気 帯気 無気 帯気 鼻音 半母音 歯擦音 気音
    軟口蓋音 ローマ字 1. 2. 3. 4. 5.     33.
    を伴う形    
    半子音字        
    硬口蓋音 ローマ字 6. 7. 8. 9. 10. 26. 30.  
    を伴う形  
    半子音字    
    そり舌音 ローマ字 11. 12. 13. 14. 15. 27. 31.  
    を伴う形  
    半子音字            
    歯音 ローマ字 16. 17. 18. 19. 20. 28. 32.  
    を伴う形  
    半子音字    
    唇音 ローマ字 21. 22. 23. 24. 25. 29.    
    を伴う形    
    半子音字    
     上の表のローマ字の左につけられた数字は、 辞書などでの文字順を示しています。
     デーヴァナーガリーは音節文字であり、 文字は特に記号のない限り、 を含んだ音を表わします。 上の表ではわずらわしいのでを書いていませんが、 必ずがくっついていることに注意してください。 この母音を別の母音に変更するときは、 上述の母音記号を使います。
     では子音のみというのはどう表わすかというと、 のように文字の下にナナメ線 (サンスクリットではヴィラーマといいますがヒンディー語ではハルといいます) をつけて表わしますが、 現代ヒンディー語では2つの理由でほとんど用いられません。
     まず、現代ヒンディー語に限らずサンスクリットなど、 デーヴァナーガリーを用いる言語ではみなそうなのですが、 2つの子音が母音ナシに連続する場合、例えば と書くには、ハル記号を活用して と書けばよさそうですが、 実際にはといった 独特の結合子音形を用いるので、 ハルは用いられません。 これが1番目の理由。
     そして、 語末が子音で終わる場合はハルが必要になるはずですが、 現代ヒンディー語では後述のように語末のを発音しません。 また、語中のも、 いろいろな条件で読まれなくなります。 このような2つの理由で、ハルはほとんど用いられないのです。

  5. 子音(新しくできた音)
  6. ローマ字 1. 2. 3. 8. 9. 13. 14. 22.
    ヒンディー
     伝統的な子音の配列は上記のとおりですが、近代になって発達したり、外来語を表記したりするのに必要な文字がいくつかあります。デーヴァナーガリーでは、それに近い文字の下に点を打ってあらわし、辞書では元の文字と同じところに配列します。
     なお、現実のテキストではこの点は省略されることが多く、発音上も点のない文字と同じように発音されることが多いです。

  7. 結合子音
  8.  「子音(昔からある音)」で述べたように、子音が二つ以上連続するときは、ハル記号(母音ナシ記号)を用いず、独特な結合子音字であらわします。結合子音字の作り方はさまざまな型があるので、順を追って説明します。
    1. 子音の表の「半子音字」欄に文字がある字で始まる結合子音……主に縦棒のある文字がこれにあたります。半子音字はその縦棒を除いた左半分の形になっているはずです()になる。先行する子音はその半子音字を使って、左右をくっつけた字をつくります。たとえば、と書く場合、母音のないは、半子音字を使って、のように左右くっつけます。
    2. 5.()、 11.()、 12.()、 13.()、 14.()、 18.() で始まる結合子音……次の子音字を下に書きます。 (例)()
    3. 7.()、 で始まる結合子音…… そのまま左右をくっつけます。 (例)()
    4. 33.()、 で始まる結合子音…… ()のような左右型 ()のような上下型 ()のような巻き込み型などいろいろです。
    5. 27.()、 で始まる結合子音…… ()のように、 次の子音のシロレーカーの上にカギ形を書きます。
    6. 27.()、 で終わる結合子音…… ()のように、 前の子音の左下にナナメ線を書きます。
    7. 5.()、 10.()、 15.()、 20.()、 25.()、 で始まる結合子音…… 上記の規則で結合子音を作ってもいいのですが、 次に同系統(子音表の同じ横の行)の子音が来る結合子音の場合、 単にその前の子音の上に点を打って表わすことが多いです。 たとえばは、 という書き方と、 という書き方とが共存しています。 この点はサンスクリットではアヌスヴァーラと呼ばれますが、 ヒンディー語ではビンドゥと呼びます。
       ビンドゥを使う書き方は、 わずらわしい結合子音を避ける簡略記法といえます。 サンスクリットではやはり結合子音で表わすのが原則ですが、 サンスクリットであってもこの簡略記法が用いられることがあります。 ヒンディー語では簡略記法のほうが圧倒的に多いです。
    8. その他、例外形…… ()、 (、もともとサンスクリットでは)、 () などいろいろ、注意を要すべき例外形があります。 出てきたらそのつど覚えましょう。 なお、はヒンディー語ではギャのように発音されます。 サンスクリットでもそう発音されることが多いです。

  9. 記号と数字
    1. ヴィサルガ……の右側の:(赤字部分)です。サンスクリットでは母音のあとの気音を表わしますが、ヒンディー語ではと同じです。
    2. ビンドゥ(アヌスヴァーラ)……の上の点(赤字部分)です。もともとサンスクリットでは鼻母音を表わしますが、ヒンディー語では状況に応じていろいろな意味で使われます。
      1. チャンドラビンドゥの代用……次で説明するチャンドラビンドゥは、シロレーカーの上に他の記号がある場合、チャンドラ(月型記号)を省略して単に点で書かれます。この場合はチャンドラビンドゥの代用なので、鼻母音を表わすわけです。
         なお、現実の文章では、シロレーカーの上に他の記号がない場合であっても、チャンドラビンドゥでなくビンドゥを用いることが多いです。
      2. 鼻子音の代用……結合子音のところで説明したように、鼻子音+子音は、結合子音字でなくビンドゥ+子音で表記されることがあります。
    3. チャンドラビンドゥ……の上の月型+点(赤字部分)です。これは鼻母音を表わします。
    4. 句読点……(左から順に、読点、句点)です。
    5. 数字……(左から順に0123456789)です。

  10. 注意すべき読み方
    1. を読まない場合…… デーヴァナーガリーの子音字はすべて母音を含んでいるのですが、現代ヒンディー語では特定部分の文字のを読みません。簡単にいえば、仮にkaparasataのような単語があったら、kaparsatのようにほぼ1つおきにaを読まなくなるわけです。詳しい規則は下のようになります。
      1. 語末のは読みません。逆に語頭子音に含まれるは読みます(1文字語の場合は読みます)。
      2. 結合子音字の前後の文字のは読みます。
      3. 直前や直後の文字のが発音されない場合、その文字のは発音します(この2と3は、連続してを読まないということはないということ)
      4. 直前や直後の文字が以外の母音を含んでいる場合、または1-3の規則によってを読むことが確定している場合、その文字のは発音しません(母音を読む音節の間にはさまれたは読まないということ)
    2. の前のの発音…… でもヴィサルガでも) の前のは、のように発音されます。
    3. 例外的な発音…… 指示代名詞の と発音されるなど、たまに発音とつづりが異なることがあります。


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