[仏教サンスクリット]

音論、連声


 仏教サンスクリットで起こるさまざまな音の変化、連声などををまとめます。
  1. 子音
    • 標準サンスクリットの子音が同化によって変化する。[エ2.5-2.16]。
      この部分、エジャトンの文法書では標準→仏梵、という形で標準サンスクリットの辞書順になっているが、 検索の便を考え、仏梵←標準、という形で、 仏教サンスクリットの辞書順に並べ替えてみた。 さらに、エジャトンの2.18-2.93に載っているさまざまな変化も、あわせてここに載せることにした。
      仏梵標準エジャトン
      ,2.6
      2.9
      ,2.12
      2.6
      2.7
      2.9
      (語頭)2.8
      2.8
      ,2.12
      ,,2.18
      (語頭),2.8
      2.34
      ,2.8
      2.14
      2.14
      (語頭)2.15
      (,,と書かれることも)2.15
      2.11
      ,,2.12
      (語頭),,2.12
      ,2.46
      2.9
      2.11
      2.16
      (語頭)2.12
      2.6
      ,2.9
      2.10
      2.11
      2.6
      2.9
      ,2.12
      (語頭),2.12
      2.9
      2.9
      2.11
      (語頭)2.10
      (語頭)2.12
      2.30
      ,2.10
      2.11
      (語頭)2.12
      2.30
      ,2.16
      2.30
      2.34
      2.16
      ,,2.16
      (語頭)2.16
      (語頭)2.16
    • 半母音,,が脱落することがある。[エ2.17]
    • 無声音が有声音に変化することがある。[エ2.28]
    • 無声音がに変化することがある。[エ2.32]
    • ,に、,に、,に変化することがある。[エ2.56-63]
    • と鼻音()とが混同する。[エ2.64-71]
    • 語末の鼻音が消失することがある。[エ2.72]
    • 逆に語末に鼻音がつくことがある。[エ2.74-76]
    • 前語末が短母音で、次語末が子音で始まるとき、その子音が重複される。[エ2.78]
    • のように、重複子音の重複がなくなることがある。[エ2.84]
    • 語末子音が消失することがある。[エ2.90]


  2. 母音
    • エジャトンの文法書にはさまざまな音変化の現象が列挙されているが、 子音同様に、 検索の便を考え、仏梵←標準、という形で、 仏教サンスクリットの辞書順に並べ替えてみた。
      仏梵標準エジャトン
      3.27
      3.5
      3.37
      3.47
      3.89
      3.91
      3.12
      3.50
      3.44
      ,3.51-56
      3.57
      3.58
      3.92
      3.20
      ,3.51-56
      3.95
      ,3.59
      ,,3.62
      (語末)3.66
      3.67
      ,3.69-70
      3.71
      (重子音の前)3.73
      3.75
      3.78
      (語末)3.79
      3.94
    • のように、語の他の部分の母音に影響されて同化することがある。[エ3.97]
    • 重子音の間や半母音の前後に余計な,,が付加することがある。[エ3.98-114]


  3. 仏教サンスクリット独特の連声
    • のように、語頭母音が消失することがある。[エ4.1-19]
    • 次に母音で始まる語が来るなどで、語末母音が消失することがある。[エ4.20-30]
    • 前語末の母音が消失するのにあわせ、次語頭母音が長母音化することがある。[エ4.31]
    • 。[エ4.32-37]
    • が、次が無声音であっても起こる。またもあり。[エ4.38-39]
    • 母音が連続するときに連声がおこらない場合がある。[エ4.51-56]
    • 母音が連続するときに余計な子音()を挿入することがある。[エ4.57-67]