ヒトーパデーシャ・プロローグ(2/4)

ランマンのリーダー２による

語(連声前)	説明	語義
	接	～と
	名動絶	聞いて
	名男単属	自分の
	名男複属	息子たちの
	頭	(否定)
	←過分幹	完成した
	名中→形男複属	教え
	副	常に
	形幹	道を誤った
	形男複属	～に関係する
	名中幹	教え
	名中単具	怠惰によって
	←過分幹	[属]を恐れた
	名中→形男単主	～と思っている
	代男単主	かの
	名男単主	王は
	能完単３	考えた

日本語訳…… こう聞いて、教えに到達せず、教えへの怠惰によって、常に道を誤ったことをしている自分の息子たちに恐れを抱いたかの王は、考えた。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	代男単主	[具]によって何の役にたつか
	名男単主	[具]によって何の役にたつか
	名男単具	子によって
	←過分男単具	生まれた
	代男単主	～者が
	副	ない
	←能完分男単主	学識ある
	副	ない
	形男単主	有徳の

日本語訳…… 学識も徳もない子が生まれても何の役にたとうか。
備考…… ここから王の考えた内容がかなり長く続く。おしまいは次ページの51。わずらわしいのでこの間は(王)「×××」という記号を略す。

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	形中単具	盲目の
	名中単具	目によって
	代中単主	[具]は何の役にたとうか
	接	あるいは
	名中単主	目は
	名女単主	苦痛
	副	まさに
	副	単に

日本語訳…… また、盲目の目は何の役にたとうか。そういう目は単に苦痛であるのみ。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	形幹	まだ生まれていない
	←過分幹	死んだ
	名男複属	愚者たちの
	形中単主	最高は
	形男両主	最初の２つ
	副	ない
	接	しかし
	形男単主	最後の

日本語訳…… 胎児、死者、愚者の３つのうちでは、愚者よりも胎児や死者のほうがましである。
備考……

～

…は、「～が最高で…はそうでない」という意味から、「…より～がよい」という比較表現となる。

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	副	一度
	形幹	苦しい
	形→名男両主	～をなす
	形→名男両主	最初の２つは
	形→名男単主	最後のは
	接	一方
×２	名中単処	一歩ごとに

日本語訳…… 胎児や死者が苦しみをなすのは一回きりであるが、愚者が苦しみをなすのは何度もである。
備考……

[途中から詩]

語(連声前)	説明	語義
	代中単主＋接	さらにまた
	代男単主	彼は
	←過分男単主	生まれた
	代男単具	～者によって
	←過分男単具	生まれた
	能現単３	行く
	名男単主	家系が
	名女単対	隆盛を

日本語訳…… さらにまた。彼によって家系が隆盛してこそ彼は生まれたかいがある。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	形男単処	回転する[処格絶対節]
	名男単処	輪廻[処格絶対節]
	←過分男単主	死んだ
	代男単主	誰が
	接	いったい
	副	ない
	反現単３	生まれる

日本語訳…… 人は輪廻するのだから、死者のうちの誰がいったい生まれないことがあろうか。
備考…… 「輪廻の思想によれば、あらゆる生物は死ぬと再び生まれかわるから、子供が生れたということは誰かが死んで生れかわったことを意味するにすぎず、とりたてて芽出たい(ママ)という程のことではない。家系の誉れを高めるような立派な子供が生れてはじめて芽出たいのだ、との意」(金倉円照、北川秀則訳『ヒトーパデーシャ』p.266)

[途中から詩]

語(連声前)	説明	語義
	副	さらに
	接	そして
	形中単主	最高の
	数男単主	１つの
	形男単主	徳のある
	名男単主	息子が
	副	ない
	接	そして
	名男幹	愚者
	数中複具	100によって
	接	たとえ～ても

日本語訳…… さらにまた。愚かな息子がたとえ１００人いたとしても、徳のある息子が１人しかいないほうがましだ。
備考……

～…については24参照。
が具格になっているので、本来は「(１００人の愚者によって)もたらされる利益」のようなものを補って解釈すべきところだろう。

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	数男単主	１つの
	名男単主	月が
	名中単対	暗黒を
	能現単３	殺す
	副	ない
	接	そして
	名女複主	星たちが
	名男複具	集団によって
	接	たとえ～ても

日本語訳…… 月は１つで暗黒を打ち破るが、たとえ星たちが束になっても暗黒を破ることができない(ようなものである)。
備考…… 前句同様、後半は具格になっているので「暗黒が打ち破られる」のような内容を補って解釈する。

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	代男単属	～者の
	代男単属	彼の
	←過分男単主	[属]から生まれた者が
	接	たとえ～ても
	形男単主	徳を備えた
	受現単３	崇敬される
	名男単主	人は

日本語訳…… どんな生まれであっても徳を備えた人は敬われる。
備考…… 一般に

～

…は、「～する人(もの)は誰(何)であろうと」という意味になることが多いが、

のほうに何もないので、単に「誰(何)でも」という意味になっている。

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	名男単主	弓は
	名男幹	竹の茎
	形男単主	清浄な
	接	たとえ～ても
	形男単主	悪い
	副	どうして
	能未単３	するだろう

日本語訳…… たとえ清らかな竹でできた弓でも、悪い弓であればどうしてうまく射られようか。
備考……

(竹の茎)は「家系・血統」の意味で使われることが多いし、

も「徳のない」という意味で使われることが多いので、「たとえ家柄がよくても徳がない人はダメだ」という寓意を容易に連想させる。

[詩]

語(連声前)	説明	語義
×２	間	ああ
	名男単呼	息子よ
	副	ない
	←過分中単主	学ばれた
	←過分女複処	行った
	代女複処	これらの
	名女複処	夜

日本語訳…… おお、おお、息子よ、何夜すごしてもあなたは勉強しない。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	副	そのように
	代単主	あなたは
	能完分男複属	学識ある者たちの
	名中単処	中において
	名中単処	泥において
	名男単主	牛が
	接	まるで～のように
	能現単２	座る

日本語訳…… まるで泥の中で牛が座っているように、あなたは学識ある者の中に座っている。
備考……

語(連声前)	説明	語義
	代中単主	それは
	副	どうして
	副	今
	代男複主	これらの
	代単属	私の
	名男複主	息子たちは
	形男複主	徳のある
	受命複３	されるべし

日本語訳…… 私のこの息子たちが徳のあるようになされるには、今どうすればいいだろうか。
備考……

[途中から詩]

語(連声前)	説明	語義
	代中単主	～すること
	接	そして
	受現単３	言われる
	代中単主	～ものは
	受ア単３	あるとされる
	副	ない
	代中単主	それは
×２	受ア単３	あるとされる
	接	もし～ならば
	副	ない
	代中単主	それは
	副	別のやり方で

日本語訳…… (世間で)言われていることによれば、ありえないと決まったものはありえず、あると決まったものは避けられない。
備考…… 冒頭の

は相関する代名詞がないようであるが、実は37冒頭の

と相関している。

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	接	～と
	形男単主	心配の毒を消す
	代男単主	この
	名男単主	薬は
	副	どうして
	副	ない
	受現単３	飲まれる

日本語訳…… ～という、心配の毒を消すこの薬をどうして飲まないだろうか。
備考……

語(連声前)	説明	語義
	代中単主	これは
	形中複属	仕事に不適の者たちの
	＋代男複属＋尾	いかなる
	名中幹	怠惰
	名中単主	言葉

日本語訳…… これは、誰であれ怠け者たちの怠惰な言葉である。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	副	ない
	名中単対	運命を
	接	たとえ～ても
	絶	熟考して
	能願単３	捨てるべし
	名男単対	努力を
	名男単属	自己の

日本語訳…… たとえ運命を考えて(ダメだと思って)も人は自己の努力を放棄すべきではない。
備考……

[詩]

語(連声前)	説明	語義
	頭	(否定)
	名男単具	努力によって
	名中複主	ゴマ油は
	名男複従	ゴマから
	副	ない
	不定	得ること
	←能現分中複主	できる

日本語訳…… 努力しなければゴマ油はゴマから得られないのである。
備考…… 最後の

は本来

となるべきところ。