マハーバーラタ3-53-1(2/3)
ナラ王物語-4

※韻律をあわせるために人名を別の表現で言い換えたり、「大王よ」などの呼びかけ語をさまざまな表現で挿入したりしている部分は、適宜省略した。

(ナラのセリフの続き)
♪「よろしければ、躊躇せずに、世界の守護者である神々の中から婿を選択してください。友人のこの言葉を聞いてください」
ナラにこのように言われて、かのダマヤンティーは悲しみから生じた涙で両目をいっぱいにさせて、語りました。
「大地の主よ、私はすべての神々に敬礼してあなたをこそ夫として選びます。私はあなたにこう誓います」
すると王は、震えながら合掌している彼女に言いました。
「美しい女性よ、使者の職務で来たのに、どうして私はここで自分の利益をはかることができましょうか。どうして、実に私は特別に神々に約束して神々のために努力を始めたのに、どうして私はここで自分の利益をはかることができましょうか。これが道理です。もし自己の利益が私にも生じましたならば、その後にこのように自分のためにいたしましょう。お姫様、私の言うとおりに神々を夫として選びなさいませ」
すると、微笑の清浄なダマヤンティーは、涙で充たされた声で、気持ちを回復しながら静かにナラ王に言いました。
「ナラ王様、このような間違いのない打開策を私は思いつきました。その打開策によれば、あなたへの罰は決してございませんでしょう。まさにあなたも、そしてインドラをはじめとする神々も、すべての人が一緒に、私の婿選びの式がある所へいらっしゃいませ。そこで私は守護神たちの面前であなたを選びましょう。こうすれば罰はないでしょう」
一方、ダマヤンティーにこのように言われてナラ王は神々が集まって来た所へと引き返しました。

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