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ホイットニーWEBサンスクリット文典 ヘルプ

ホイットニーWEBサンスクリット文典操作法

●目次●
  1. ホイットニーWEBサンスクリット文典操作法
  2. ホイットニーWEBサンスクリット文典起動法
  3. 著作権について
  4. 附録ページPDF


  1. ホイットニーWEBサンスクリット文典 とは?
     「ホイットニーWEBサンスクリット文典」はホイットニー(William Dwight Whitney)著『Sanskrit Grammar』(1879/1888)をWEBで公開するものです。「Sanskrit Grammar」がどういう本であるかは、このページの下を見てください。
     本来であれば全文を電子テキスト化したいところですが、これは大変手間のかかる作業であり、誤入力も多数発生する可能性があり、個人の手には余るものがあります。
     そこでズルをして、本文ページをそのままスキャンした画像を公開しようというものです。これならば少なくとも、原書の誤植あるいは内容そのものの間違いは別としても、誤入力の心配はありません。
     ただし画像だけでは語の検索ができませんので、「ホイットニーWEBサンスクリット文典」では、目次および原著にある2種類の索引のみをテキスト化(文字として入力)して、それを検索用にあてています。以下、このテキスト化された部分を「ホイットニーWEBサンスクリット文典」では「インデックス」と呼びます。
     携帯の小さな画面では画像表示は困難ですので、PC専用とします。



  2. ホイットニーWEBサンスクリット文典 使用法
    1. 使い方の大原則は、左フレームのインデックスを検索する→該当の項目の右側のリンクをクリックする→右フレームにその項目が載っている頁が表示される、というシステムです。
      なお、項目が複数ページにまたがっている場合は最初のページが表示されますので、適宜右フレームの「←前」「次→」などで移動させてください。
    2. 左右のフレームは基本的に非連動です。つまり、左フレームでの検索の結果で自動的に右側が変化するわけではなく、リンクをクリックしない限り右フレームは変化しません。また、右フレームでも直接ページを指定してそこへジャンプすることができますが、だからといって左が連動するわけではありません。
    3. 右フレームは最後に表示したページを覚えているので、次に起動したときに右フレームに表示されるページは1ページではなく、最後に表示したページになります。



  3. 右フレームの使い方
    1. 「セクションへジャンプ」の左の入力窓にセクションを入力してボタンをクリック(Enterキーも可)すると、そのセクションへジャンプします。
    2. その右の「頁へジャンプ」の左の入力窓にページ番号を入力してボタンをクリック(Enterキーも可)すると、その頁へジャンプします。
    3. 右フレームは『Sanskrit Grammar』原著を単にスキャンしたのみです。モニタの解像度が高い場合はこのままでも字を読めるかもしれませんが、読みにくいときには「拡大」をクリックすると、別ウインドウにページが拡大されます。
      「これでもなお字が小さい」というのでしたら、さらにこの画像をクリックしてください。すると画像をそのままブラウザで表示するようになります。ここから先のふるまいはブラウザによって異なるかもしれませんが、IEやMozillaならばいったん小さい全画面表示になり、さらにクリックすると原寸表示になります。原寸はA5版を300dpiでスキャンしたものですから、これで文字が小さいということはないはずです。



  4. 左フレームの使い方
     インデックスを検索するには、「キーワード」と書かれた入力窓にキーワードを入力します。
     インデックスは原著冒頭の目次、巻末のサンスクリット索引、総合索引の3種類から選びます。いずれも原著を単に電子テキストしただけであり、違いといえば、ページ数にあたる部分がすべてリンクになっているとことくらいです。そのリンクをクリックすると、右フレームがそのページの内容になります。
     このままでも十分に使えると思いますが、おしまいのほうの項目をいちいちスクロールさせるのも大変な話ですし、紙と違ってディスプレー画面上では見落としも多発します。そこでキーワードを入力すると、そのキーワードが入っている行だけにしぼりこむことが可能です。
     サンスクリットの単語の検索では、符号つきローマ字はそのまま入力できるのでしたらそれでもいいですし、KH式もOKです。「KH式だとśはzって入れるんだろ? じゃzって入力したらみんなśに変換しちゃって、英文の語にあるもともとからzって書くものは検索できないんじゃ?」とご心配の方もあろうかと思います。そういう対策として、あなたの入力したキーワードは、KH式とみなして変換した形と、そのままの形と、両方で検索をかけていますので、そういう心配はございません。
     ローマ字の変換はKH式以外に水野方式、当サイトの内部表現形式など、次のようなものをサポートしております。
    1. ā……A、Ā、aa
    2. ī……I、Ī、ii
    3. ū……U、Ū、uu
    4. ṛ……R、Ṛ、rz、r3
    5. ṝ……RR、Ṝ、rzrz、r4
    6. ḷ……L、Ḷ、lz、l3
    7. ḥ……H、Ḥ、hz、h3
    8. ṁ……M、Ṃ、Ṁ、mz、ṃ、m3
    9. ṅ……G、Ṅ、nq、n1
    10. ñ……J、Ñ、nw、n2
    11. ṭ……T、Ṭ、tz、t3
    12. ḍ……D、Ḍ、dz、d3
    13. ṇ……N、Ṇ、nz、n3
    14. ś……z、Ś、Ç、ç、s2
    15. ṣ……S、Ṣ、sz、s3
     zについては、KH式ではś、水野方式ではtz(ṭ)、dz(ḍ)のような前の字への下点を表すというあいまいさがありますので、先に水野方式での変換をして、残ったzをśと解釈しています。
     ṭhなどはTHではなくThとしてください。KH式では大文字であることが特別な意味を持ちますので、THとすると、ṭḥと変換してしまいます。検索にあたっては大文字・小文字を無視していますから、大文字を検索したくても、KH式での「意味をもった大文字」以外はすべて小文字で入力するようにしてください。
     原著ではアヌスヴァーラをṅ(上点つきのn)と書いていますが、これは一般的にはGuttal Nasalを表すのでサポートしません。また一般的にはṅと書かれるものを原著は上横線つきnと書いていますが、これもサポートしません。
     アクセント記号は'aのように母音字の前に'(シングルクォーツ)を入力してください。
     語根を表すルート記号はそのまま√でもいいですし、%も許容します。
     「SKTローマ字を画像で表示」にチェックを入れると、サンスクリットローマ字の部分を画像で表示します。これはMS-IEの6以前で、下点つきローマ字を正しく表示できない不具合(仕様!?)に対応したものです。MS-IEの7以降あるいは他ブラウザをお使いの方は、チェックを入れないほうがいいでしょう。



  5. ホイットニー文典とは?
     William Dwight Whitneyがどういう人であるかはWikipediaを見てください。私たちサンスクリット学習者にとってはなんとなく「19世紀ヨーロッパのインド学者なのかな」というイメージがありますが、実はアメリカ(19世紀、南北戦争をやってたころのアメリカですから新興国というか田舎ですよね)の学者です。そういえば後述のランマンもアメリカ人でしたね。で、ホイットニーの代表的作品はむしろThe Century Dictionaryという事典的性質の英語辞典の編纂だったりします。著作一覧(上記WikipediaのWorks)を見ると、いろんなことをやった人なんですね。
     それはそれとして、ホイットニー著『Sanskrit Grammar』、通称「ホイットニー文典」は、19世紀(前々世紀!)の著作ながら、サンスクリットの文法を西欧語的に記述した文法書としていまだにこれをしのぐものがない、空前絶後の名著といえるでしょう。
     サンスクリットの入門用としてはさまざまな本がありますし、詳しい文法事項を調べる道具としては日本語ができる人には辻直四郎『サンスクリット文法』などもあるのですが、これらのほとんどは古典サンスクリット(念のため言いますと、サンスクリットの世界で「古典」といったらグプタ朝を中心とした「新しい」という意味です)しか扱っておらず、それより古いヴェーダを読むには役不足です。ヴェーダを含めてありとあらゆるサンスクリットの文法事項を調べることのできる道具として、ホイットニー文典は身近においていつでもひけるようにしておきたい存在です。
     たとえば、初等文法を終えてさらに実力をつけようとするには、昔から定番のコースがあります。それは「ランマンのリーダー」(Charles Rockwell Lanman『A Sanskrit Reader, Text, Vocabulary, and Notes』(Harvard University Press, 1884))の読解です。ランマンのリーダーの注はホイットニー文典とリンクしており、ホイットニー文典のセクション番号が大量に書かれていて、随時そこを読みながら必要事項を学習していくようになっています。ですからランマンのリーダーをやっていると、ホイットニー文典をいつもそばに置いて、see 330とか、いや、ほとんどはseeもなくて単に330とか175bなんて書いてあるわけですけど、そしたらすぐに330や175bを開けられるようにしておかねばなりません。実は、これを手軽にパソコンでやりたいと思ったのが、ホイットニーWEBサンスクリット文典開発のきっかけなんですね。