いま、なぜペリーか

〜ペリー文法の効用〜



  1. ペリー文法とは?
     日本でサンスクリットの入門教材といえば、自作教材などを除けば、 その昔は荻原雲来の『実習梵語学』、 その後はゴンダ『サンスクリット語初等文法』が定番でした。 が、もちろんこれ以外にも入門教材はいろいろあります。 ここではその中で、Edward Delavan Perry『A Sanskrit Primer』 (以下、「ペリー文法」という)という本をとりあげ、 そのエクササイズ(練習問題)の模範解答を掲載しようと思います。
     日本ではペリー文法で勉強してる人はあまりいないから模範解答なんか作ったって無意味のようですが、 私まんどぅーかは、 あえて模範解答を作成してでも皆様にペリー文法で勉強してほしい、 それだけの効用がペリー文法にはあると信じております。 以下、ペリー文法の特徴をあげながら、そのことを説明してみたいと思います。
    1. 安価・容易に入手できる…… この本は最初1885年に作られ、1936年に改訂されました。 最初から数えると1世紀以上も使われてきた教材です。 いまではこの本はインドでリプリントされ、Rs.190なので、 インド書籍を扱う日本の書店では1200円程度で入手できます。 当サイトの書店ページに掲載した「アジア書籍取扱店」に問い合わせてみてください。 たぶん「在庫があって即納できる」と答えるのではないでしょうか。
       もちろん著作権が切れている(著者の死亡年は1938年)のですべての内容を晒してもおとがめはないのですが、 まあ現物がほしい人は買ってください。 当コーナーではエクササイズの問題とその答え、および簡単に文法説明や新出語彙をつけています。これで実質的にペリー文法の内容は網羅されています。
    2. うすっぺらいのにエクササイズが豊富…… この本はA5判で230ページしかありません。かなりうすっぺらい印象です。
       この薄さながら巻末には梵英、英梵の語彙集もついています。 エクササイズは豊富で、 1章につき20〜30題、それが42章ぶんあります。 正確に数えてませんが約1000題というところでしょうか。 こうなるとほとんど文法書というより問題集ですね。
       いくら練習問題が豊富でも、 全体が何冊もの分冊になっていたりすると、 分量的に萎えてしまいます。 ペリー文法の分量は、多すぎず少なすぎず最適です。
    3. 作文問題が多い…… エクササイズは各章とも前半が訳読(梵文英訳)、後半が作文(英文梵訳)になっています。 分量的にはほぼ同等、訳読のほうが若干多いかなというところですが、 これだけ作文問題が充実している本はなかなかありません。
    4. レッスン形式…… 『実習梵語学』やゴンダ文法など多くの初等文法教材は文典順になっていますが、 ペリー文法は「レッスン形式」。 文法を重要度や習熟しやすい順に組み替えてあります。 ペリー文法は例文こそありませんが、「新出文法事項→語彙→練習問題」という構成は、まさしく現代普通のレッスン形式になっています。
    5. デーヴァナーガリーが多い…… この本では最初からデーヴァナーガリーが多く出てきます。 最初のうちは本文の説明はローマ字と併用していますが、 エクササイズは完全にデーヴァナーガリー。 後になると本文の説明もすべてデーヴァナーガリーになります。 これはちょっと初心者向けとはいえません。



  2. ペリー文法が役立つ人
     上記のような特徴をもったペリー文法は、いったいどういうときに役立つでしょうか。
    1. 初等文法を終えた人の復習用…… ペリー文法は入門者には向いていません。 デーヴァナーガリーが主体だという点もそうですが、 一見とっつきやすそうなレッスン方式も、 サンスクリットのように語形変化表がいっぱい出てくる言語の習得では見通しが悪くなります。 ペリーもそれは認めていて、ペリー文法の最初には、 「ホイットニー文典など文典順の本と併用しろ」と書いてあるほどです。 やはり最初は、ゴンダ文法などの文典順がいいと思います。
       むしろ初等文法を終えた人の文法復習用に適しているでしょう。 現状ではほとんどの学習者が、初等文法を終えたあとは、 読解練習ばかりになり、文法を復習する機会がありません。 よく出てくる事項には強くなるものの、たまにしか出てこない事項に弱くなってしまいます。 文法の復習は、読解練習に欠けているものを補ってくれることでしょう。
       そういう人にはペリー文法も苦ではありません。 そろそろデーヴァナーガリーに慣れるべきだし、 文法を一通りやったのですから、 復習のときには順番を変えてみたほうがいい。 作文練習は文典順よりレッスン式のほうがラクです。
    2. 作文…… 「サンスクリットは死語なんだから、訳読さえできればいい」 と思うかもしれませんが、文法事項の確認には作文練習が一番です。 「初等文法は一通り終わったんだが、どうも読解力が身に付かない」という人は、 ぜひ作文練習をやってみるといいでしょう。 かの中村元先生も次のように言ってます。
       わたくしは一高在学中から自学自習でサンスクリットを手がけてみたが、うまくいかなかった。東大入学後、梵文学教室にバンダールカル(インドの東洋学者。一八三七〜一九二五)の『サンスクリット・ブック』にキー(虎の巻)があるのを知り、決心して夏休みいっぱい作文の練習をした。続いて、榊亮三郎『梵語文法』の範例の答えを利用して作文をやってみたが、これでサンスクリットが、すこしは身についたような気がした(中村元『学問の開拓』佼成出版社(1986)p.94)。

       総じて語学は作文と会話ができなければ身についたものにならないようである。(同p.95)



  3. このコーナーの使い方
     このように、ペリー文法は「初等文法を終えた人」の「文法・作文練習用」に役立ちます。では、そのための効果的な使い方はどうなるでしょうか。
    1. 新出語彙…… まずは各章の「新出語彙」ページを表示、必要に応じて印刷してください。 語彙は暗記する必要はありませんが、印刷して手元に置いておくと、 問題を解くときに便利です。
       それから、各章の主要文法項目も、新出語彙ページに簡潔に表示しています。 ですから原著がなくても勉強ができますが、 原著をお持ちの人は、原著も参考にしてみてください。
       なお、原著では現在の日本の教育現場で一般的でない表現があり(例えば「6類動詞」→「アクセント−aクラス」など)、それらは通常の言い方に直しました。これを含めて原著の文法説明を独自に書き換えている箇所が多数あります。
    2. 問題…… 前半が読解、後半が作文になっています。 作文の練習をしたい人も、まずは読解からやってください。 そうすれば作文のヒントにもなります。
       読解はまず原著のデーヴァナーガリー表記をそのままスキャンして表示しています。 まずはこれをローマナイズしてください。 もしデーヴァナーガリーが読めない場合は、 左フレームの「デーヴァナーガリーの読み方」をクリックしてください。 なお、この「デーヴァナーガリーの読み方」は、WindowsのArial Unicode MSの書体を使っていますが、ペリー文法のデーヴァナーガリーの書体はこれと違う場合があります。 激しく違うのは次の文字です。
      • ……。同様に, , の左側もこのようになります
      • ……
       次にこれを訳してください。 文法に自信のない人は文法説明もメモしておくようにします。
       初期状態ではデーヴァナーガリーしかありませんので、 必要に応じて以下のボタンをクリックします。
      • ……その問題のローマナイズを表示
      • ……その問題の解答を表示
      • ……全問題のローマナイズを表示
      • ……全問題の解答を表示(作文部と連動)
      • ……初期状態に戻す(作文部と連動)
       ペリー文法のローマナイズは一部特殊なものがありますが、 ここでは現在普通のものに直しました。
       なお、ローマナイズは原則として語の分かち書きをしましたが、 サンディによって母音が融合した場合は分かち書きしないのはもちろん、 ^印など特殊な印を一切つけておりません。
       作文のほうは語順が指定されていたり、語彙や語形が指定されていたりすることがありますので、できる限りそれに従います。
       なお、原著は英文であり、注記も英文梵訳を前提にしているので、日本語化するにあたってかなり書き換えました。原著で注記がないところに注記をつけた箇所、原著の注記を省いた箇所なども多数あります。
       答えはローマ字で書けばけっこうです。
       初期状態では問題しかありませんので、 必要に応じて以下のボタンをクリックします。
      • ……その問題の解答を表示
      • ……全問題の解答を表示(読解部と連動)
      • ……初期状態に戻す(読解部と連動)