悉曇の建立および梵字表(1)


おことわり: 原著では三章第五が「悉曇の建立」、第六が「梵字表」で、完全にわかれています。 つまり梵字表とその説明部分が完全に分かれているわけですが、 これは単にレイアウト上の都合だと思われます。 よってここでは表と説明を一体化させますが、 分量が多いのでいくつかにわけます。

5. 悉曇の建立

 悉曇の建立とは、一つあるいは複数の子音に母音をつけて書くという意味ですが、 母音のうちの4つは「別摩多」(特別母音字)として扱い、 第十六章にわずかな例を出しているだけです。 よって普通の字に用いる母音は12個であり、これを「十二点」といいます。 それ以外の例外的な増減はそれぞれの章に示します。
 各章では標準の形をいくつかあげ、それ以外の推測可能なものは省略しています。 しかし、悉曇文字の結合子音字は縦型ですが、 デーヴァナーガリーは縦型だったり横型だったりします。 ですから、悉曇文字のほうは結合子音字が明らかであっても、 デーヴァナーガリーのほうは縦型か横型か不明確な場合があります。 ですからここでは、悉曇文字の書法上わかりにくい文字だけでなく、 デーヴァナーガリーの書法上わかりにくいものも載せてあります。 練習をする人はこの点をご承知の上で、 各章で必要な文字を書いてください。

第一 迦迦

 子音字34に、などの12母音をつければ、となります。 それぞれの子音字ごとに12母音ありますから、 この章の文字は合計408になります。 そのはじめの2字をとって、本章名を「迦迦章」といいます。
 書き方は、まず字を12個そのまま書き、 ついで字、字……などの33子音字を12個ずつそのまま書いていきます。 そのあとでなどの母音記号をつけていきます。 ただし、2字のは半子音字形を用います。 最初の母音は、子音字の中に含まれているので書きません。

第二 枳也枳耶

 などにを加えてとします。 子音字34のうち、という組み合わせを除き、 それ以外の31子音字にそれぞれ12母音をつけて合計372字が作られます。 は「第十五 迦章」 (→こちら)に、 は「第八 阿勒迦章」 (→こちら)に、 は「第十八 孤合章」 (→こちら)に入っているので、 こちらの章からは除かれています。 書き方は、の列ではの半子音字形にの半子音字形を加えますが、 それ以外は子音字形そのものにの半子音字形を加えます。
                 
                 
                 

第三 迦略迦略

 などにを加えてとします。 子音字34のうち、という組み合わせを除き、 それ以外の32子音字にそれぞれ12母音をつけて合計384字が作られます。 は「第十五 迦章」 (→こちら)に入っており、 はサンスクリットでは使われないので、 こちらの章からは除かれています。 書き方は、の列ではの半子音字形にの半子音字形を加えますが、 それ以外は子音字形そのものにの半子音字形を加えます。