梵語字母の書体
おことわり:
原著の三章第七「数字」は非常に短いので、この章の最後に移動しました。
4. 梵語字母の書体
悉曇文字は法隆寺貝葉およびネパールで発見された写本の中から、 従来伝えられてきた字形にもっとも近いものを載せました。 字形が従来伝えられてきたものと多少異なるものがありますが、 正しいものを載せているので、 学ぶ人は古来の書きゆがめられた形を捨てて、 ここに出した新しい形を正しい形と認めて使わねばなりません。
(それぞれ左が悉曇文字、右がデーヴァナーガリー)。
※
にはまた(悉曇)
(デーヴァナーガリー)
の形があります。
※
にはまた(デーヴァナーガリーで)
の形があります。
と
は単独の字母ではなく、 後の悉曇建立の中に入れるべきものですが、 古来、悉曇章の最初に掲載されて梵語字母の中にこの二つを含めるのが普通です。 その理由は、
は同じ子音を重ねるものの象徴であり、 しかも同じ子音を重ねるもので最後に来るもので代表しているというわけです。
は異なる子音を重ねるものの象徴ですが、 中でも
と
は最初と最後のほうの字を重ねるもので代表しているというわけです。 さらに、
に
を加えて
とする理由は、
は必ず音節の終わりに来るものであり、音節の最初や中間には来ません。 そこでこれを「界畔字」といいます。 母音の最後に界畔字
を置くのに対応して、 子音の最後にも
に
をつけた
を置くというわけです。
は悉曇家の伝える文書には出てきません。ヴェーダ古本にのみ出てきます。
母音は、単独の時と、子音のあとに来る時とがあります。 単独のときには上の書体を用いますが、 子音のあとに来る時には別の書体を用います。 これを
母音記号形
と名づけます。
だけは子音字の中に発音が含まれているので別の記号を用いません。 もっとも後世の密教家は、 「
の音は一つの点で書き表すので、 どんな字も筆を下ろすとき
の字を書いているから、 それ以外に記号を用いないのだ」という説明をしています。
は言語として用いられることがないので、 もちろん単独でも子音の後にも用いることがありません。
、
はいつも音節のあとにあって単独に存在しないので、 独立形と母音記号形の区別をする必要がありません。
これ以外の
母音記号形
(子音に付する母音記号としての形)は次のとおりです。
字の右側
字の右側
字の左側
字の左側
字の右側
字の右側
字の下端
字の下端
字の下端
字の下端
字の下端
字の下端
字の下端と右側
字の下端
字の下端
字の左肩
字の上端
字の左肩と上端
字の上端
字の左肩と右側
字の右側
字の左肩と上端と右側
字の右側
※
の母音記号形は悉曇に書かれているのを発見していない。
7. 数字
1
2
3
4
5
6
7
8
9
0
10
125
1892