[サンスクリットページ雑感集・技術情報]

勉強法−カリキュラム、順序について

Since 2004/3/6 Last Updated 2004/3/6


 まんどぅーかが初めてサンスクリットを勉強したときはゴンダ文法を使ったので、 サンスクリットの入門書はどれもゴンダ文法みたいに、 連声法→名詞の曲用→動詞の活用っていう順番になるもんだと思ってた。 辻直四郎のもそうだったし、 その後出た菅沼文法もそうだったし。 もっとも、文字の説明をどこでやるかとか、 名詞の曲用で子音を先にするか母音を先にするかという、 細かい違いはあるにしても。
 しかしこのサイトをたちあげるにあたり、 いろいろな学習書を集めてみたところ、 そうじゃない本もけっこうあるのね。
 『サンスクリット・トレーニング』はその典型。 いきなり動詞の活用から入るし、 その後も名詞の曲用と動詞の活用を少しずつこなしていく。 連声法すら章を追って少しずつ出てくる方法だ。 こりゃ型破りだなと思ってたら、 けっこうこのテのやつがあって、 たとえばTeaching Yourselfシリーズの「Sanskrit」もやっぱり「名詞と動詞と少しずつ」。 日本で出た本では、 昔よく使われたらしい、 榊亮三郎の『解説梵語学』が、 一応全体は名詞→動詞という流れながら、 練習問題の都合で、 ちょこちょこと動詞の活用を先走って解説したりしている部分がある。
 ただまんどぅーかは、 自分自身がゴンダ文法で勉強したせいでそう思うのかもしれないけど、 「しっかり名詞」→「しっかり動詞」という順番のほうがわかりやすいと思うな。
 サンスクリットは名詞の曲用も動詞の変化も非常に複雑で、 これを小出しにちょこちょこと出されたら、 かえって覚えられないんじゃないだろうか。 それよりは、 いきなりドカンと、 「これが-aで終わる男性名詞の変化表だぞ。 さあ覚えろ」と、 全体像を示されたほうがいい。 もちろんそんな表はなかなか覚えられないんだけど、 それは練習問題をこなしながら、 忘れたら覚え、忘れたら覚え、 少しずつ覚えていけばいい。
 連声法はどうするかというと、 最初にちらっと説明するだけ。 あとは練習問題をこなしながら、 何度も何度も連声法のページを参照して、 少しずつ覚えていく。
 こんなふうに、 出てきたものをその場で全部覚えるなんていうのはハナからあきらめて、 何度も何度も前のページを参照しながら覚えていくわけだから、 逆に、 どこに何が書いてあるかすぐにわかるように、 「連声法」「名詞」「動詞」としっかりまとまっていたほうがいい。 これを小出しに出されたんでは後で探しにくい。 いちいち索引を見るのも大変だ。
 「名詞も動詞も少しずつ」という考えの理由は、 ひょっとしたら練習問題の関係もあるのかな。 名詞も動詞もやらないと文章の読解ができないというわけだ。
 しかし、 サンスクリットは名詞文が非常に多く、 名詞を並べただけで文ができてしまう。 過去分詞や現在分詞がそのまま文の述語になって、 あたかも動詞の過去形や現在形であるかのように使えてしまう。 そしてこれら分詞の変化は形容詞と同じ、 つまり名詞と同じ。 だから名詞の変化を覚えるだけで、 けっこういろんな文が作れてしまう。
 その証拠にゴンダ文法では、 一番最初にやる「-aで終わる男性・中性名詞」の表のところで練習問題があるんだけど、 もうその練習問題は(短いけど一応)文の形になっている。 -aで終わる男性・中世名詞は非常に多いんで、 これを覚えるだけでけっこういろいろな文が作れてしまうんだな。
 仕方なく動詞そのものが出てきちゃうことがあるんだけど、 それは注をつけとけばいい。 「後で説明する事項が前に出てきてしまう」のはよくないという意見もあるかもしれないけど、 外国語の学習書では仕方がないことだと思う。 とりあえず注でしのいでおけばいいんじゃないだろうか。
 わかりやすい学習書を作るためにいろいろ工夫するのも必要なんだろうけど、 伝統的なやり方っていうのはやっぱり長い時間磨き上げられたところがあって、 よさもあるんではなかろうか。


※ご意見、ご教示などは、に戻り、掲示板あるいはメールで賜るとありがたく思います。