パンチャタントラ1-5(3/9)
ヴィシュヌに化けた織工

しかし車大工は笑ってこう言った。
「友よ、幸いなるかな。もしそういうことなら、私たちの目的は達成された。それならまさに今日にも彼女と寝ることができるだろう」と。
織工は言った。
「友よ、番人に守られ、風以外には誰も侵入できない、少女の王宮などというところで、どうして私と彼女とが寝られよう。君はどうして私をウソで欺くのか」
車大工は言った。
「友よ、私の知恵の威力を見よ」
こう言ってすぐに、古いアルジュナ樹の木材で、一対の腕を持ち、ほら貝と輪と棍棒と蓮華を備え、王冠と装身具を備えた、杖で動き回るガルダ鳥を作った。そこでそれに織工を乗せて、ヴィシュヌの目印をつけたものを作り、そして杖によって動く技術を見せて告げた。
「友よ、このヴィシュヌの姿で、夜に王女の宮殿に行き、7階の宮殿の端に行ったところにたった一人でいる、天真爛漫で君をヴィシュヌだと信じ込んでいる王女に、君のでまかせのいい加減な言葉で喜ばせ、ヴァーツヤーヤナが『カーマ・スートラ』で説いた方法で愛せよ」
織工もまたそれを聞いて、ヴィシュヌの格好になり、こっそり宮殿へ行き、そこで彼女に言った。
「眠れる王女よ、どうしてまた目覚めないのか。私は海から、あなたのために深い愛をこめ、ラクシュミーを捨ててやって来た。だから私と一緒に寝ろ」と。

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