ヒトーパデーシャ2-4
猿と娼家の女将の話

シュリー山の中央に、ブラフマプーラと呼ばれる町があった。 その岩山の頂上にはガンターカルナと呼ばれる魔物が住んでいるという悪いうわさを、人々はいつもしていた。 かつてある盗賊が、鈴をもって逃げているとき、虎によって殺され食われた。 その手から落ちた鈴を猿たちが得た。 そして猿たちはその鈴をひっきりなしに鳴らしていた。 かくてその村の人は、その食われた人間を目撃し、 また絶えず鈴の音が聞こえたので、 ほどなく「ガンターカルナが怒って人を食べて、鈴を鳴らしている」と言って、すべての人々は村から逃げた。 その後娼家の女将が考えて、 「猿たちが鈴を鳴らしているのだ」と気づき、王に告げた。 「王よ、もし財宝を出費してくださるなら、 そのとき私はかのガンターカルナを退治します」 そこで王は財宝を与えた。 そして女将は自ら猿の気に入る果物を受け取って、 森林に入り果物をばらまいた。 すると猿たちは鈴を捨て、果実に執着しはじめた。 女将は鈴を取ってやって来て、全世界から尊敬される者となった。

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